＋ ｍｉｓｓｉｎｇ-ｌｉｎｋ ＋

「え、じゃあ、ジュードさんと
付き合ってる訳じゃないん?」



間に合わせの紙皿に並んだ、
彼のが造ったお刺身。

彼も飲めないらしいので、
ぺットボトルの
ウーロン茶を飲んでいる。



「付き合うとか・・
そんな次元じゃないです。」



もう
そんなの飛び越しちゃってる。

彼と云う男を知る人なら
その言葉で
的確に理解した事だろう。



「理解者で、師匠的存在で、
私は彼のガールフレンドの
1人にすぎないと思う・・。」


「・・満足なん?」

「十分過ぎます」



心の底からそう思える。
だからこそ
彼の望む条件も呑んだ。

彼がこの部屋にいつでも
入れる様、彼の携帯も
登録済みなのである。

ただし、三日間のお休みは
私のものだけにさせて欲しい
とは云ってあったのだ。



「よぅ、1人で暮らすのん、
許してくれはったよね。」

「ふふ、傷心旅行よりは
安心できるからでしょうね。」


「ん・・サクヤさんから
なんとなーく、聞いてる。」

「・・・・・うん。」



サクヤは彼にギターを教えてる。

彼が話したのなら本当の事を
柘植は知っているだろう。


「私ね、ダメなんです。
彼が亡くなっても、まだ何一つ
思い出が色褪せてもいなくて。」



そればかりか、
想っていた気持ちが日に日に
強くなっていく錯覚すら覚えてる。


「人間て案外、丈夫なんだなって。
自分自身、どうにかなっちゃう、
寝たきりにでもなっちゃうんじゃ
ないかと思ったりもしたけど・・。」



自分の中に
残留する喪失感の存在、

そして、時々襲ってくる
得体の知れない強烈な不安と
必死で闘っていると打ち明けた。



「ジュードさん達の前で・・その
苦しい顔を見せたくなかったんです」


「・・それやったら俺も、
自然に過ごした方がええと思う。
誰に気兼ねなく自分と闘えるやん?」


寂しそうに笑って
軽く同意を求めてた。