どうしてこうなるんだろう。

独りで居たいと思った最中、

私の部屋が開くのを
今か今かと待っている、
生魚と大根、マイ包丁、

それにゆずポン持参の男。

知らない仲ではないし、
ご近所付き合いも大切だ。

まあ、ナニかありそうな
タイプでもなし。


ピッ!



「どうぞ」

「おお~、携帯で開いたっ。」

「まだ何もないんです・・よ?」



部屋を間違えたのか? まさか。

・・なに、この家具は。



「いいやんか~、見ていい?」

「えっ? ええ。」



一階には
ヒヤシンスのリビングセット、
竹のしゃれたカーテン、

二階に上がると
同じシリーズの、
ムード満点の
竹細工のアップライト。

ロータイプで
キング・サイズなベッドが。

ここがポイント。
ナニ故キングサイズか?

誰の仕業か、解りきっている。



「凄い、アジアンな感じ~。」


確かに素敵だ。
てゆうか、それで以前

"こんな部屋、素敵と思わない?"


って。雑誌を私に見せたのか。

ヨーロピアンな、
ジュードさん家には不似合いだな
とは思っていたのだけれど。

思わずベッドに腰掛けて
またビックリ。


・・・プヨン?

まさか・・!
ここは10階ですよ??
慌ててボックスシーツを剥ぐる。



「水じゃない」



水の感覚に近い、
固形ジェルのマットレス。

ふと枕元にカードを発見した。


『このベッドはドイツ最新医療の
発想から生まれた特注モノだよ?
他の男に反応して破裂するんだ♪』


・・それで特注?

もしや、返した百万円以上の
買い物になったのでは?

どうりでスンナリ受け取った筈だ。
きっと、専務も知っていたんだ。



「上にもトイレあるん?」

「あ、ええ。」



階段を上がって来た彼にトイレを
案内してから自分は下へ降りた。


一体いつ搬入したんだろう?
短時間で終らせるとは
プロの家具屋さんだな。

正規の所から買ったものなら
金額も相当なものになった筈。

呆れて苦く笑った。