雑誌を読みながら
カニ歩きしていた人がなぜか
警備の人達に連れて行かれてる。

そういえばお腹が減っていた。
カニクリーム・コロッケ食べたい。

昔・・
坂巻さんがどこかのお店で買って
来てくれたのが凄く美味しくって
それ以来、
たまに食べる様になって。




"クリームコロッケなんか邪道だと
思ってたけど、案外美味いよな"



「・・・・・。」



ダメだ、
何見ても思い出しちゃうな。

食料品売り場のお惣菜やさん、
それだけ手にしてレジに並んだ。

せっかく、
炊飯ジャーが現金で買える以上の
お給料を振り込んで貰ったのに。

電気屋さんに行っても
私が壊しちゃった
掃除機のコードリール、
治してくれたなぁ・・とか。

そんな事ばっかり、
まるで
シリトリみたいに思い出してる。

百均にも行く気が失せて
結局買ったのは
カニクリーム・コロッケ
2個だけだなんて。

それを持って・・とぼとぼと、
マンション前まで帰って来た。


ファンッ・・、
車のクラクションに振り返る。



「何でこんなトコにいるんよ?」

「あ・・こんにちわ」



路肩に止まった四駆、
ドライバーは柘植くんである。
この近くに住んでいるのか?


「ウチ、あそこやねんよ。
こっちに引越ししてきたん?」

「・・・。」


どうでもいい偶然(失礼)に
思わず自分のマンションを指差す。

ブアイソになってしまったか、
そんな私を訝しげに見た後、
なぜか少し笑っているのだ。


「?」

「ご飯、あとで一緒に食べよっか。」