______ 生きてて良かった。


ボクは今日ほど力強く
コブシをグッと
握り締めた日はない。

まさか、まさか!

こんな、
ありふれた街で・・!!

たった今、

ゴスロリ界の憧れ、
ヲタクの希望の星、

ヨメ( フィギュア )にしたい
No1の女の子・・。

Siaちゃん!!!
と、すれ違ったのだ・・!

本当に小粒なカンジ、

サロペットにブーツなんて
普通なのに・・、



「ああ、
君はまるで天使のよう・・!」


心臓が口から飛び出そうだった
ボクに気付く訳がなく・・

すれ違いザマ、

ふあり・・いい匂いがして・・

ふらふらと、
ショッピング・モールまで
着いてきてしまった。


おおっ・・買い物するらしい。

お金をおろすついでに通帳記入、
そうそう、そうした方がいいナ!

目が悪いのか・・な?

機械から出てきた通帳に
ビタ!っと顔をくっ付けてる。

そしてそれを人差し指でさして。

聞えないな、
もうちょっと近づいて・・と。



「イチ、ジュウ、ヒャク、
セン、マン、ジュウマン・・!」



なんだ、単位数えてたのか。

真剣な顔もイイ・・!

いいんだよ何しても。

君が可愛いから許そう・・!

今度は携帯を取り出した。

階段下の壁の方を向いて後を
気にしながら
何やらコソコソと
誰かと話しをし出した。


よく移動するな。

でも聞きたい。



「何かの間違いじゃないかと・・。
・・えっ? 明細? あ・・いいえ、
ああ・・ええ、有難うございます。」



困った様なその顔・・!

ああっ、そんな所のポケットに
入れちゃうのかい?

その携帯になりてぇ・・!


「君、さっきから
何をしているのかな?」


顔から雑誌を下ろすと・・
警備のオジサン達に囲まれていた。

ボク、もしかして怪しいヤツなの?