メッセージカードを置いて、
ブツブツ云いながら
包装紙を丁寧に剥き・・


「!」


開け口を上から
覗き込んで絶句していた。


「何やってんのよ、
そんなトコで・・!」


ちょっとした
"ドッキリ"である。

部屋の中にもちゃんと
カメラさんは居る。

車の中、皆でモニターを
笑って見ていられた。

此方側の様子も
合わせてテレビに映すらしい。


「もー、今、出したあげるから
ちょっと待ってよ?」


段ボールを開くと
小さな花束を持ち、
"一日彼女"の襷掛け、
頭にデカイリボンを着けた
シアが出てきた。

柘植の照れた笑いは
止まらない。



「お誕生日
おめでとうございます。」

「このベタな仕事は・・
あの・・事務所的にはOKな
仕事だったの?」

「ええ、ギリギリで。」



そんな所から
始まったばかりだ。

人見知りする
同じタイプの彼ら。

ボケにボケが絡む二人の会話、
シナリオがあってない様な
トークバラエティ。

これがオンエアされれば、
またシアの違った一面が
見せられて+になる。

そんな様子を
覗き見て笑い合っていた最中。

携帯が胸ポケットで
震動し出したので一旦、
ロケバスから1人降りたんだ。

サクヤからだった、
こんな昼間に珍しい。



『ジュード君? シアは一緒
って聞いたんだけど・・!』


「今、収録中だけど?
何なの・・!?」


『どうしよう、
何て云ったらいい? 何て・・
一体・・どう云ったら・・。』



電話口で酷く取り乱してる
彼に胸騒ぎを覚え、
落ち着いて話すよう繰り返した。



『孝介・・
肺がんだったらしんだ・・』

「え!? 癌・・て?」


『自宅療養してて・・
今、意識不明、病院へ』



サクヤの声が途切れる。

ロケバスに戻り、
俺はモニターの中のシアを
眺めながらも頭はもう真っ白で。


( レコーディングは? )


自宅療養・・
既に末期だったんだと悟った。