ひとつ、何か失っただけだ。
なのに翌朝、
世界が変わる気がしていた。
皆が起きない内に
ベッドから起き出して
お風呂場に向う。
少し浮腫んだ自分の顔に
ゲンナリしながら
パジャマを脱いだ。
大きな鏡には・・ただ自分の
白く小さな体が映るだけ。
何も残ってない、
彼の指紋も印のひとつも。
触れた首の傷跡にさえ、
唇の温度はもう蘇らない。
進めるだろうか
立っていられるだろうか。
ぼんやりとした不安
ティー・スプーン、
1さじの半分もない希望
それを感じ取るだけで
大きな溜息がつい出てた。
「ふう」
・・・・今のは私じゃない。
湯気の向こうの影が
手を小さく上げて見える。
「ごめんなさい・・
脱衣所に何も・・。」
「起きてそのまま歩いて来た
からね。おはよう・・今朝は
随分早いじゃない?」
ジュードさんは湯船から
上がると鏡の前に立つ、
私の後ろに回る。
「そのまま鏡に向って、
力を抜いて」
云う通りにすれば
そっと両手を取り
左右に広げ出すのだ。
「背は低いけど、
こんなに綺麗な体をしてる。
ツルリとした白い肌、
大きな黒目、薄過ぎない唇、
顎の形、
ほぼ左右対称のお椀型の胸、
ウエストの位置の高さ、
細過ぎない真っ直ぐな脚。」
説明しながら
それらの箇所を手で示してる。
気が付くと
鏡の美しい青年は
私を優しく見下ろしてた。
「付き人、卒業してみる?」
「え・・・?」
なのに翌朝、
世界が変わる気がしていた。
皆が起きない内に
ベッドから起き出して
お風呂場に向う。
少し浮腫んだ自分の顔に
ゲンナリしながら
パジャマを脱いだ。
大きな鏡には・・ただ自分の
白く小さな体が映るだけ。
何も残ってない、
彼の指紋も印のひとつも。
触れた首の傷跡にさえ、
唇の温度はもう蘇らない。
進めるだろうか
立っていられるだろうか。
ぼんやりとした不安
ティー・スプーン、
1さじの半分もない希望
それを感じ取るだけで
大きな溜息がつい出てた。
「ふう」
・・・・今のは私じゃない。
湯気の向こうの影が
手を小さく上げて見える。
「ごめんなさい・・
脱衣所に何も・・。」
「起きてそのまま歩いて来た
からね。おはよう・・今朝は
随分早いじゃない?」
ジュードさんは湯船から
上がると鏡の前に立つ、
私の後ろに回る。
「そのまま鏡に向って、
力を抜いて」
云う通りにすれば
そっと両手を取り
左右に広げ出すのだ。
「背は低いけど、
こんなに綺麗な体をしてる。
ツルリとした白い肌、
大きな黒目、薄過ぎない唇、
顎の形、
ほぼ左右対称のお椀型の胸、
ウエストの位置の高さ、
細過ぎない真っ直ぐな脚。」
説明しながら
それらの箇所を手で示してる。
気が付くと
鏡の美しい青年は
私を優しく見下ろしてた。
「付き人、卒業してみる?」
「え・・・?」


