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帰って、
シアを風呂に先に入らせた。

キッチンに行くと
地方公演から戻って来てた
那須がワインを
出してくれたんだ。

なぜか俺はそれが心地よくて、
誘われるまま
ヤツと二人、
それを口にしていた。

バーカウンターの那須は
バカやってる時と違い、
黒縁メガネで
金髪でも理知的な男に見える。

体の線は細いけど
俺より服の中身は詰って
がっちりしてた。

シュミでシュートを長く
やっているせいだろう。
ロッカーは皆、ヘナチョコと
思われがちだから。

そんな彼がやっと口を開いた。


「ジュードさんやシーちゃん
見てたら、どうも思い浮かぶ
歌詞があって・・。」

「・・・なに」

「なんの曲だったか・・
loving u is like a battle
って歌詞」

「また、懐かしい曲だな。
知ってる。」



シアはアイツに、
俺は彼女に・・。

一昔前流行った、
黒人の女性シンガーの曲。

コイツはもう
俺達の匂いに感付いてた訳だ。



「それで一曲、書こうかな。
ふふ、ご馳走様。」



俺はそう云い残し、
部屋に戻る。

ベッドに横たわると実感した。

"貴方を愛するという事は
闘う事に似ている"

ああ、そうかも知れないと。