+ missing-link +

俺はヤツの噂を聞いていた。

ジュードがまだあのバンドから
離脱する前の話を・・。

またパラついた雨をタクシーから
眺めながら俺は思い出していた。


なあシア_____

誕生日のケーキを覚えてるか?

お前が作ってくれた
チョコの混じったチーズケーキ

掛けてあったカバーを外すと
ハッピーバースディの文字の下


『 ダイスキ♡×10 』


アレを見た時
なんとなく解ってしまったんだ

俺はただ否定的なだけだが

彼女、シアは・・
愛し方そのものを知らない


俺は歌詞にもけして

『あいしてる』

その言葉は使わない
だけどその言葉の変わりに

ソファで本を読んでたお前に
俺はコソッと耳打ちしたんだ


「ゼロがヒトツ、
足りねえンじゃねえか?」


ポカンとしたあの顔、直ぐに


「夜まで見ちゃダメだって
云ったのに・・!」


そう云って怒ったお前が
堪んないくらい愛おしくてさ

お前をずっと
独り占めできたら

俺はきっと
いつかお前に云ってしまうな


"一度でいいから
・・聞かせて下さい"

そんな風に
せつなく強請られなくたってさ


_____ ゼロが幾つあっても

まだまだ足りやしねェんだよ・・



お前は
その意味を彼から習うんだ

悪いが・・

俺には教えてやれそうもない