「またやろうね。」


仕事だった二人は
家を後にした。

ジュードさんは
朝から筋トレをするらしい。

私は洗濯機を回している間、
髪や服、体に着いた
炭の匂いを消す為に
お風呂に入ることにした。

最近、
彼が色んなコスメを薦める。


"これも、あれも、
使っていいからね”と。


ここのバスに
おいてある物は、自分じゃ
なかなか買う事が出来ない
高級なもの。

私が買って使っていたのは
せいぜい安物の
ピーリングジェルぐらい。

ビジュアル系の人は皆、
こうやって自分を
磨きっぱなしなんだろう。

たまに借りるのは
スカルプ・ローション。
今日もちょっと借りて
シャンプーしよう。

シャンプー・リンスも
市販のもの。

最近、撮影とかで確かに髪も痛み気味・・。
トリートメントも忘れずに。

あっ、混ぜて使う
蜂蜜を忘れた・・。
じゃあ今日は
これだけでいいかな。


パタン。


えっ?


「シャンプー、
量が多いんじゃない?」


イスに座ったまま泡アフロで
その声に振り向いた。

ドアノブの札はちゃんと
ひっくり返した筈なのに。



「"入ってます”って札が、
イタ、目に・・。」

「・・別に慌てなくても
・・洗っちゃえば?」


「あ。もう、終わりです。
・・じゃなくて、」

「じゃ、流すよ。目瞑ってー。」


「いえ、あの・・ぶくっ」

「口も閉じてー?」



タオルを
手渡してくれたのはいいが、
なんで裸で入ってくるのか。

彼から遠ざかってから掛け湯、
慌てて湯船に浸かった。


「全てを見た仲なのに何で
恥かしいの。おかしな子だね。」


何の恥かしげもなく、
細身のギリシャ彫刻の様な
体をシャワーに当てる。

そりゃ、
そんな完璧なボディなら
見られても全然へっちゃら?
なのかな。