シュラフに慣れなくて、
眠っている皆を
置いてテントを出た。

まだ炭が少し、
暖かく灯ってるのを見つけ
傍にあった
コットに腰を降ろす。

満月ではないけれど
今日の月は本当に綺麗。

同じ月をあの人も
見ているのかも知れない。

時々そんな
他愛のない事を思うのだ。

今でも孤独な
あの人を想うと胸が痛む。

私は
捨てられたと云うのに。


「わ、びっくりした」

「眠れない?」

「あ。すみません」


ジュードが声を掛け、
私に上着を羽織らせた。
起きた気配に気付いたらしい。


「1人の方がいい?」

「え・・いいえ、
眠くないですか?」

「じゃ・・隣は空いてる?」

「ええ」


クス、と
笑って彼は隣に腰掛ける。

なんだろう、とても
改まった感じがする。

彼はスウェットのポケットに
両手を突っ込んだまま、
月を見上げてる。

会話がなくても
許される時を感じてた。


「シアに____ 」

「え?」

「シアに云って
おかなくちゃと思って」


ダメだ、
悪い方に悪い方に考えて、
不安で胸が
ドキンドキンしている。


「なんですか・・?」


急にこちらを向いて、
口が動いた。怖さのあまり、
思わずギュと
目を瞑ってしまっていた。



「俺はシアのことが大好き
だし、とても愛おしいし、
カナリ愛しているからね?」

「!?」


「それだけ覚えといて。
もう寝ない? 風邪ひくよ。」

「は、はい・・。」



目を開けると綺麗な瞳が
優しく微笑んでいて。

軽いキスをチュッと唇へ
当てがうと肩を誘い、
テントに連れて行く。

静寂の月夜に
静かな嵐の様な告白?

勿論こんな事は
生まれて初めてだけど、
彼からも・・
初めてのことで。

セックスする時より
ドキドキするなんて
私、どうかしているのかな?

シュラフに別々に入っても
暗闇で
隣に居る彼の視線を感じてる。



「あの・・
キュウシン欲しいかも・・」

「あるよ。」

「えっ、本当にっ?」


・・なぜ?