荊姫～第二章～

「…呑まれる前に……言ったの…『可哀相なあんたに教えてあげる……この子はあんたの味方じゃない…この子は私たちの味方なのよ』って」

「はぁ!?」

「………」

紫恩は訳が分からないというような顔をして

誄華は静かに目を伏せた

「……勝ち誇ったように笑ってた……」

ユキがそう言うと地面から数本の蔦が出てきて棘と蕾が生えてきた

「「っ!?」」

「……早く…あの女から裂を取り返さなきゃ……早くしないと…裂が……」

ユキの声はか細く、今にも消えてしまいそうな声だった

だが

蔦はユキの声とは裏腹に何本も地面から生えてきた

「お、おいユキ、落ち着けよ」

紫恩はなだめるようにユキの手を握った

「とりあえずこの街の状況を確認して、エイラがいる場所を突き止めようぜ、な?」

「………」

ユキは無言だったが、生えていた蔦が地面に戻った

紫恩と誄華はホッと息を吐いた