荊姫~第二章~

「なんだと!!」

「普通、いくら悔しくてもレンガを蹴る人なんていませんよ…ねえ、主?」

「………」

ユキは誄華の問いかけに答えず

裂が呑まれた場所を見て無言のまま地面に降りた

「……主?」

誄華はユキの肩に手を置こうとしたが

ユキが発したものすごい殺気に手を止めた

「……どうしました?」

「………」

誄華に聞かれてもユキは無言のままだった

不審に思った誄華がユキの顔を覗き込んだが

「っ!?」

ユキの顔は表情が消え失せていて、瞳には怒りと悔しさが入り混じっていた

「主………」

「ん、どうした?」

誄華が悲しそうな顔をしたのを見て

紫恩がユキの顔を覗き込んだが

顔を青ざめさせてすぐに引っ込んだ

「ど、どうしたんだ?」

紫恩が引きつった声でたずねると

「……あの女が…」

ユキはポツリと感情のこもってない声で話し始めた