荊姫~第二章~

「うわ…こりゃひでぇ…」

紫恩が裂を見てぽつりと言った

誄華は無言で裂に手当てをし始めた

ユキはそんな二人など視界に入ってないように呆然としていた

「(……嘘だ、裂が死んだなんて…

誰のせい?

私のせい

でも殺したのは私じゃない…

裂を殺したのは…)」

―アノオンナダ

ユキはエイラに向かって走り出した

「っ主!?」

「え、おい、ユキ!!」

誄華と紫恩が止めようと叫ぶが

今のユキには聞こえていないようだ

「ぁぁぁぁぁああぁぁぁあぁあぁあぁあ!!」

喚きながら走ってくるユキを見てエイラは驚いたが

その手に何も持ってないのを見ると嘲笑うかのようにユキを見た

「馬鹿ねぇ……何も持たずにくるなんて………死ねクソガキ」

エイラは憎悪の目でユキに斬りかかった