荊姫~第二章~

「っ待て、ユキ!!」

裂は我に返り、ユキの腕を掴んだ

「……あー、裂だー…」

ユキは振り返って裂を見てふにゃりと笑った

柔らかそうに見えるその笑みは

今の裂にとって恐怖以外の何物でもなかった

「おい、ユキ…お前何してんだよ…」

「何って…あの人が裂の事を殺そうとしたからさー……“殺しちゃおうと思って”」

「っ!?」

裂は目を見開いた

だがユキは笑顔のままだ

「俺は大丈夫だから…」

裂がそう言うとユキは無表情になり

自分の顔を裂の顔に近づけた

「……すごい汗かいてる…無理してるでしょー?」

「っ!?」

裂は自分の額に手をあてた

「……血が足りないんでしょー?」

「…………」

裂は先ほどの怪我による出血で貧血状態になっていた