泣き叫ぶ山内のネクタイをぐっと上へあげて顔を見た。
そしたらあなたが亜美に悪戯をしてたわ。あの時は意味がわからなかった。
亜美は泣き叫んでいたけど、音楽で声が遮られた。
私はびっくりして尻もちをついた。その時あなたと目が合ったわ。
“あの目”よ。今のあなたのその目よ。
近づいてくるあなたは何故か裸で異様な雰囲気だった。
私はすぐに逃げた。とても怖かった

涙は枯れて悲しみや恐怖は全て憎しみに変わっていた。

それから夏休みに入ったから会わないまま時は過ぎた。
学校が始まると亜美はその事に何も言わなくなった。普通に学校に来て普通に帰った。
1回私は「一人っ子だし、お母さんしか私にはいないから一緒に住まない?」
と言ったら張ってた糸が切れたように大声で泣いた。
ありがとうありがとうって。結局亜美は家に帰ったけど

亜美がいなくなったのは中学1年生の時だった
泣いてる山内に目線を合わせた。




私は、山内を許せるのだろうか。


亜美が最後に私に告げた言葉は言わないことにした。
私と亜美だけが知っている秘密だったから。

お葬式であなたを見かけたとき殺そうかと思った。
平然とした顔で出席してる姿が許せなかった。
でも私は忘れることにした。こんな腐れきった男に一生振りまわされるのは嫌だった!
強くなったの。亜美は私の永遠の友達よ、そして幕を閉じた。
過去に鍵を閉めて奥の奥にしまったわ。
でも思い出した今、まだあなたを憎む気持ちが新鮮だった

ネクタイを掴む手が怒りで震えるのを抑えた。

亜美を愛していたんだ…
子供みたいに泣く山内はもがいているようだった。

亜美を本当に愛していた