山内は笑った。

君は僕を知っているよ

(  え?  )

僕は山内大輔、

( だれ? )

日の山会社勤務だ。

( 私が知ってる? )

年は26歳

( 山内大輔… )

出身は

( 思い出せ )

愛知県出身。

愛知県…。
私の出身地でもあった。

輪郭を沿うように指でなぞる感覚が気持ち悪かった。
耳元で言われた

僕は全て知ってる。君が小さい頃から今川上の偽の奥さんをしていることも
くくっと笑いを堪えた声が怖くて睨んだ。

嘘よ。そんな都合の良い話…。何が目的?
足が痛いとかそんな感覚もうなくなっていた。

嘘じゃない!
目の中の“何か”が目の前に現れた。部屋が静まり返って手が震えた。
僕は一目見てわかったよ、君は違う。川上の奥さんなんかじゃないって!
川上は俺の大学時代の同級生だ。誰と結婚したかなんてわかってるんだよ

まだ思い出せないのか?…これから君と川上に恥かいてもらう?
目を見られると怖くなる。心の中のもの何もかも持っていかれそうで。
あんた、だれ…?
唾を飲み込んで震える声をぎゅっと我慢して言った


私は何をすればいいの?ひとつだけ、あなたの言うこと聞くわ。
それと交換に今の話、墓まで持っていきな


山内の目は何処か懐かしい匂いを感じた。もっと記憶の奥の…
奥の記憶。