だから、数日前、古い定食屋入っただろ?あそこで見つけたんだ

思い出したようにあーあー。と漏らすと 
そっか と言って横に並んだ。

あんなに綺麗に焼き魚食べる人初めてだったんだ。まりは只者じゃないと思った
真面目に言ってるように見えたけれど、バカにされてるのだろうか。

そんな理由?

ほんとだよ。まりと仕事がしたいと思ったんだ。きっと面白いって
沈黙が流れてなんか変な人だなと思った。

役立たず。
私っていつまでもこうやって何も“できない”とか“無理”とか言ってるから
成長しないのかな。自分が思ってる以上の力で立ち向かわないといけないんだよね。
分かってたけど、理解していたつもりだけど、私っていつも逃げてるんだ。
面接官に言われた
“君には魅力がないんだよ”って、何も自分からしようとか
人から受けたものもしようって気持ち、最近無くなってたかも。

空気を切って川上は言った。
じゃあ、帰るわ…。悪かったな、就活とかもろもろ頑張れよ。
そう言って川上はまた玄関に向かった。

君には魅力がないんだよ
君には魅力がないんだよ
君には魅力がないんだよ
何度も繰り返す。

私には
魅力
ないの?


閉まってしまった玄関に駆け込んだ。

かわかみゆうと!叫けんだこと、今でも自分でびっくりしてる。

川上は振り向いた。

私に魅力・・・感じる?

川上は驚いた顔をしたけど
すぐに笑って 当たり前だろ?!と言った。

嬉しくて
久しく人に優しくされたせいで
緩んだ糸が吹っ切れて涙が出た。

弱ったなあ・・・

おいおい、泣くなよ。怒ったり泣いたりまりは忙しい奴だなあ
そう笑った。

だって…
言葉で表現できなかった。
やる、やるよ。そう心に気合いを入れた。

かわかみゆうと。私を雇ってください、よろしくお願いします
そう言って涙を拭いた。

川上はニッコリ笑った。
引き受けてくれると思ったよ。まり、よろしくな

そう言って握手をした。