まり?平気か?

少し考えて頷いた。
ん、でさ私はそこで何をすればいいの?

俺の奥さんの役をしてほしいんだ

え?

奥さん。どうしても必要なポジションなんだよ。
だから本当に横に居るだけでいいんだ。嫌?

真剣な顔で言われて引き替えせなくなってる自分が居た。

まりじゃなきゃだめなんだ
その言葉にグラグラ動かされる。

10分待って!それまでに答え出すから
そう言ってまりはベットに潜り込んだ。

私なんかに出来るはずないじゃない。
横に居るだけって・・・
マナーとかさ、よくわからないし、それも 服がない!
リクルートスーツなんかでいけないし、むむ就活より厳しい!
でも・・・
でもでも、もしかしてそのパーティーで何処か会社に入れたり・・・!
あ、でも奥さんが会社探してるなんておかしいよね。
あ、でも就活は出来なくても婚活はできるかも!って言ってる場合じゃないし、
週末までに会社の履歴書書かなきゃいけないし!(忘れてたよ)・・・
辞めようかな・・・申し訳ないけど。

つか

川上はなんで私じゃなきゃ駄目なんだろう?

10分経って布団から顔を出した。バイトの引き受けはなしの方向で考えていた。
気付いた川上は正座でこっちを見た。

どう?やれそうか?
嘘のない真面目な瞬間だった。

うーん。無理かも・・・
そう言うと川上は悲しい顔になってしまった。
なんだ、この罪悪感。

そっか・・・。無理か・・・

布団から起き上がって ごめんなさい が零れ落ちた。

いや、急だったし・・・
そう言うとベットを背にもたれ溜息を吐いた。私は聞きたいことがあった。
布団を投げ出して川上の前に座って言った。


なんで私じゃなきゃ駄目なの?

顔を上げる川上にドキッとした、不覚にも。
ためらいがちにこう言ったのだ。



焼き魚の食べ方がすごい綺麗だったから


は?
ドキッとした自分が残念だった。