いつの間にか
大学4年になっていた。

新卒がそんなに大切なのだろうか?疑問だった。

説明会が終わり、リクルートスーツのまま会社の近くの古い定食屋さんに入った。
中に入ると気の良さそうなおばちゃんが いらっしゃい と言った。
人に久しぶりに優しくされたななんて考えていた。

A定食を頼んだら、焼き魚が出てきて名前は知らなかったけど、 とても美味しかった。
周りはスーツを着たおじさんばかりで、リクルートスーツは恥ずかしくなった。
後ろからかすかに笑い声がしたような気もした。私もあんな時あったなぁ、
なんて話になっているのだろう。

口をもぐもぐさせながら新聞を開いた。

新卒生内定60%・・・。
ため息が漏れた。

私は世間に流されるがまま
就活を始めた。
音楽専門の学科だったから
職種は決まっていたけど
中々書類も通らぬまま

とうとう
70社目。
こんなにも会社てあるのだなって思った。
そして、
こんなにも自分が無力なのだなと
理解できた。

内定60%でも、60%はしっかり職についているんではないか、数字に甘えてるのだ、わたし。

就活という壁は山のように最後に登ったものが勝者で
頂上に着いた者しか味わうことができない景色と優越が待っているらしい。

私にも見れるのかな?

その景色と優越。

そんなに良いものなのだろうか?

就職やバイトだとしても
企業に相手にされないと

世間の底辺に頭をつけているような気がして
“普通の人間”
じゃない気がして
怖くなった。