都の春




〜靖仁親王side〜














今、春菜は何と言った?







私が好きと………





嬉しい。







ただ、今浮かぶのはその気持ちのみだ…













「私でいいのか?



私は春菜を縛るし、いつか君がいなくなったら…





耐えられないほど弱い男だ…






なのに、いいのか?」












『うちこそ…

宮さんの妹君のような気品はございませぬが、それでもよいのですか?






それに、私は…




いつか現世に帰るかも知れへん…





宮さんが望む事に答えられない事は多いと思いますえ。






でも、時が許す限り…





うちは宮さんの妻になりたいどす……』











「嬉しい、嬉しい。




養父上に報告するよ」









春菜の顔が曇った。









『うちは、宮さんの妾でいいどす…


このまま、屋敷に女房と同じように召しおいて下さいまし。』








私の妻になるなど、簡単な事だ。





春菜は自分がいずれいなくなる事を考えているのか?



それとも…
自分が平安の世では、身分の差があるからか?










『宮さん…


今日の夜で三日間、宮さんはうちに通った事になりますえ。



うちは、それでいいどす』






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