都の春









《権中納言様。
朝にございます》

宮さん付きの女房が起こしに来はったわ。。










うちが悩んでる間に、朝や…







「おはようさんどす。

うちに何か手伝える事はありませんか?」



うちは女房殿に言いました。





《めっそうもございませぬ。



権中納言様の想い人であらしゃるお方に…

手伝いなど!》











『姫…

あなたは何もしなくていいんだ』



宮さんが言いました。








「えっ!!

姫!!!」




宮さんがうちの耳元で囁きました。






『…私に合わせて…

春菜は某大臣家の妾の娘という事に屋敷ではしているから…』












うちは余りにも、甘うございました。



宮さんが身分が分からぬものを匿うのは大変で…



まして、同じ時代のものでないのに…








宮さんほどのお方なら、格式やしきたりもおありでしょうに…



うちに付き合わせてしまっとったんどすね………








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