「陸(リク)、いい加減にしろ。」



暖かい日のさす、午後の始まりを過ごしていたその日。


突然声を荒げたのは、仲間内の中で、一番温厚なハズの晴季(ハルキ)だった。


確かに、女癖の悪い陸の行動は、最近目に見えてたちが悪い。


現に、購買の帰りにも、2年生の中でも人気の高い先輩からメアドを聞き出していた。


でも、俺らは気にしなかった。


だってそれは、『いつものこと』だったから。



「どーしたのぉ?なんか、晴くんらしくないよね。」



と言ったのは、おとなしく可愛らしい顔とは裏腹に腹黒い性格の鞘(サヤ)。


目が隠れてしまいそうなくらいに深く被ったニット帽を直しながらねえ?と俺に視線を送ってくる。