そして、いったい何なんでしょうこの状況。



「オラその教科書、発行年ごとに揃えろよ全部」


「つか日本史のプリントが世界史のファイルにあんのおかしいだろ。しまっとけ」


「それそこじゃねーし。あの棚だっつーの」


「ってか暑ぃ…窓開けて扇風機こっち向けろよ」



…本当、何なんでしょう。



この、人こき使って自分椅子から一歩も立ち上がらない俺様隣人は。



夕方といえど猛暑だから、この部屋はモワンとした熱気が溢れていて



あたしは相当イライラしていた。



…ああそういえば、朝は榊原君が来たから渉に言いたいこと言えなかったんだっけ。


暑さと渉のせいでイライラしてるせいか、油断すればすぐに言葉に出てしまいそう。



でもあたしは今、渉の機嫌を損ねるわけにはいかなかった。



言われた通り窓を開けて扇風機を渉の方に向けたあたしは、



「わ…渉っ!!!!」



意を決して渉の前にしゃがみ込んだ。