「私はハクトと申します。以後お見知りおきを。
そしてあの素っ気ない人はチェシャといいます。
あなたのお名前は?」

「えっと、亜莉子です。」

「アリスですか、可愛らしいお名前ですね。」

「…ありがとうございます。あの、聞いていいですか?」

「はい、何でしょう?」

亜莉子は色々な事を尋ねた。
そして、色々な事がわかった。
ここは『ハートの国』という所だということ、
彼等は女王様のお城で働いていること、
この世界に『日本』なんて国はないこと…。

「アリス、君はこの世界の人じゃありませんね。」

「えっ…?」

「私とチェシャにはわかるんですよ。」

そう言ってハクトは立ち上がった。

「とりあえず、城に帰りましょうか。女王にアリスをお見せせねばなりません。」

「あぁ、そうだな。」

そう言って二人は亜莉子を見た。

「さあ、行きましょう。城はすぐそこです。」

そう言うとハクトは手を差し出した。


なんか、お姫様になったみたい…。


亜莉子はそう思いながらその手をとり、歩き出した。