チェシャは何か言いたそうに口を開閉させたが、結局
あぁ、としか言えなかった。
亜莉子は話題を反らそうと話し掛ける。
「ハクトさん、おそいね。」
「あぁ。」
「何かあったのかな?」
「さあ。」
「大丈夫かな?」
「さあ。」
「…。」
「…。」
駄目だこりゃ。
素っ気ないチェシャに戻ってしまった。
亜莉子は小さく溜息をついた。
「おい。」
チェシャに突然呼ばれて、亜莉子が顔を上げると、真剣な顔をしたチェシャが言った。
「必ず、ハートの女王の質問には、はい、と答えろ。」
「え…??」
「自分の意志にそぐわなくても、だ。…わかったな。」
それはー…。
「…ねぇ、どう「アリス、チェシャ。準備が出来ましたよ。こちらへ。」
亜莉子の疑問はハクトに遮られてしまった。
チェシャはさっさと部屋を出ていく。
仕方なく亜莉子も続いた。
さっきのは、一体どういう意味なの…?
