亜莉子がどうしていいかわからず突っ立っていると、チェシャは亜莉子を見た。
「座れば?」
そう言うと、亜莉子に椅子を引いてくれた。
そういえば、初めて話し掛けてくれたような…。
「ありがとう。」
亜莉子がその椅子に座る。
チェシャは亜莉子が座ったのを確認すると言った。
「もう少ししたらハクトが呼びに来るから、何も出さないけど、悪いな。」
「気にしないで、全然構わないから。」
「そうか…。」
そこで一旦話が途切れる。
二人を微妙な静寂が包んだ。
居づらい−…。
そう思って何か話そうと口を開きかけたが、その前にチェシャが話し掛けてきた。
「君は何故この世界に自分が堕ちて来たのか、わかる?」
「えっ…?」
亜莉子は戸惑った。
そんなコト考えもしなかった。
そういえば、どうしてだろう−…?
亜莉子は答えが見付からず、黙りこくってしまった。
