ハクトはすぐそこと言ったが、歩き始めて10分、まだ着かない。
今3人が歩いているのは城の庭らしい。
さすが城、無駄に広い。
ハクトは亜莉子に気を使いながら歩いている。
一方、チェシャは終始無言で歩いていた。
二人とも美形だ…
と亜莉子は思った。
ハクトは銀色の長髪で、肌が白くて、紳士的。
いわば、中世ヨーロッパの貴族的なイメージ。
チェシャはさらさらの黒紫色の髪で、同じく肌が白く、人当たりは素っ気ない。
口調もハクトとは全然違う。
ハクトは、チェシャは人見知りだから時間が経てば喋ってくれますよ、と言ったが…。
本当だろうか。
亜莉子は軽く溜息をついた。
