“マリンに何が分かるんだよ!!お前は、毎回賞とってるだろ?”

・・・正直悲しくなった。

私だって、毎回賞が獲れるわけじゃない。

でも、それが自由になるための条件だから、必死に走るだけ。

“・・・分かるよ”

“はっ?”

彼は驚いたような表情をする。


・・・そんなに驚くなら教えてあげる。

この時、私の中で何かが弾けた。

無性に腹が立った。

自由を求めて必死な自分よりも遥かに良い状況にありながら弱音を吐いている彼に。

そして自分の表情を消す。

彼の目の前に居るのは、もはや人魚姫ではなく、桜木詩音、すなわち人形姫その者だろう。