周りには、もう予選を終えて決勝戦進出が決まってる仲間、おしくも予選で敗れて終わってしまった仲間がいる。

“詩音、そんなに固くならないでさ、自分らしく走ってきな?”

“あったり前でしょ?私を誰だと思ってるのさ?”

“さっすが私の詩音。自信もって堂々と走んなかったら許さないからね”

“私何時由貴のになったの?ってか、許さないって、由貴の鬼”

いつも通りの光景に、みんなが笑う。

だけど、この光景も、あと何回見られるのだろうか?

“ほら、ふざけてないで、早く行ってきな詩音”

“ハーイ。じゃあ、桜木詩音、行ってきます”

元気よく挨拶してグラウンドへと降りて行く。