後になって知ったけど、あの時の走りだと、私が怪我しないか心配で厳しいことを言ったらしい。


・・・それを知らないで反抗してたなんて、今になると恥ずかしい。

それでも日は1日1日過ぎて行き、大会前の練習も残りはわずかだ。

“ねえ詩音、この大会で最後だけど、お互いに最後まで走り切ろうね”

“もちろん”

‘頑張ろうね’って言わないところが由貴らしい。

頑張ってる人に、頑張ってる自分に頑張ろうっていうことは何とも酷なことだってわかってるから。