そう。怖かった。 大勢に囲まれて、しかも、こんな格好だし。 だから、彼が助けてくれた時、ホッとしたのだ。 “とりあえずこれ着てろ。俺んち近いから寄ってけよ。帰りは姉ちゃんに頼んで送ってもらえよ、その格好で電車は乗れないだろ?” 彼はそう言って私を促す。 確かに由利奈先輩はいるけど、彼だって男だ。信頼はしているけど、やっぱり怖かった。