しばらく、波に乗っていたけど、ふと顔をあげると、きれいな満月が昇っていた。 ああ、なんてきれいなんだろう? あんなに堂々と空を照らすのに、裏には大きな傷があって、太陽の光を反射してでないと輝けない。 私も月になりたい、と純粋に思う。 周りが支えてくれるからこそ立てたこの舞台で、精一杯輝きたい。 そんなふうに思えたのは初めてで、なんだか心が温かくなる。 なんとなく陸のほうに顔を向けると、あの人がひたすらに走っていた。