こんなやりとりも日常になって、“人形姫”なんて言われることは少なくなった。


“あっ。そう言えば、明日男子も会場同じだからくれぐれも変なことしないように注意してね”


“ハ~イ”


“…って、ちょっと詩音、由貴、聞いてるの?


あんた達が一番危ないんだけど”


“大丈夫、大丈夫。誰もうちらの世界に入ってこれないし?”


“…由貴、そういう問題じゃないんだけど。


とにかく詩音、ちゃんと更衣室で着替えてね”



“ねぇ知佳、うちって、そんなに危険なわけ?”



“うん。この中で一番かな”


“うっわ、ひっど。まあいいや。気をつける”


“わかればよろしい”


“ヘイヘイ。じゃ、また明日ね”


いつものように軽口を叩いてるけど、明日は大会。


高校最後へのカウントダウンが始まったのとともに、将来の自由をかけた戦いも始まった。