結局その日はそれ以上勉強にはならず、ただただ会話をするだけで翌日を迎えた。

“おはよう、詩音。昨日はよく眠れた?”

“由貴との賭けのせいで全く眠れてませんが何か?”

ホント、緊張のあまり、ほとんど眠れなかった。

“まあまあ、プライベート通り甘えればいいんだからさ”

“人事だと思って・・・”

“だって人事だし?賭けで負けた自分が悪いんだし?”

“こんの性悪女!賭ける教科英語にしておけばよかった・・・”

“ほら、二人とも、いつまで言い争ってるつもり?あんたたち二人は客寄せに廊下に立ってなさい”

“あっ、明日香、私が劇の準備に行った後で、直とか由貴の彼氏が囲まれてたら、助けてあげといて。たぶん、困り果ててるだろうから”

“了解。しっかし、詩音がデレるとはね。由貴とられちゃうよー”

“由貴の詩音が―”

・・・いつ由貴のものになったんだ、私?

“まあまあ、早くいって来な、客寄せ”

“はーい”

それ以上いたら、明日香が怖いから、私たちは逃げるように廊下へと出た。