“ハァ?”

思った通りの彼の反応が面白くて、笑いそうになるのをぐっとこらえる。

“ねえ、私直にいっぱい支えてもらったよ?だから今度は私に支えさせてよ”

これは本心だった。

だって、辛いことがあった時に助けてくれたのは、いつだって彼だったから。

“詩音。俺、頑張って見返してやるは”

“そうこなくっちゃ。とりあえず、家来る?そのままじゃ帰れないでしょ?”

“良いのか?”

そう言って彼は自分のことをみる。

ついさっき私を抱きしめた彼の服は、未だに乾いていない。

“うん、構わないけど?あっ、ついでに数学教えてよ”

“うっわ、マジかよ。切り替え早っ”

うん、ちょうど数学やらなきゃなー、って思いながら放置してたんだよね。