夏休みの課外が始まって数日。
この頃では、一日30分は海に出るようにしている。

海は不思議。
どんなに切羽詰まっていたって、焦っていたって、そんなのちっぽけなことに感じてしまう。
どこまで無限に広がる海は、まるで私の不安までも呑み込んでしまうかのようだ。

この日も、波に乗っていると、久しぶりに彼の姿が見えた。

だけど、いつもの無駄に自信に満ちた彼ではなく、なんだか苛立っているようだし、私に気づいたのか気づいていないのかわからないようなほどボーっとしている。

試しに近づいてみたけど、なかなか反応は無く、彼のすぐ前まで来てしまった。