その日を最後に、彼とは会えなくなった。

私自身、今まで部活をやっていた分を取り返すかのように、その時間学校で自習をするようになって、家に帰っても勉強、土日は課外かテストと忙しく、海に行ける日は少なかった。 

それでも、帰り道、彼の姿は無いかと、様子を見ることもあったが、彼も忙しいのか、姿は無かった。

この日は、終業式で、明日からは実質夏休みになる。
まあ、受験生の私たちは課外やテストで関係ない話だが・・・。

“詩音、その後彼とはどうなのよ?”

“だから、大会の次の日から会ってないって”

由貴は相変わらず聞いてくる。
その度、同じ答えを返すのはお決まりとかしてきたけど、さすがにもう一カ月になるわけで、だんだんと寂しくなる。

“まあ、夏休みになれば、少しは時間も出来るだろうし、息抜きがてら会ってみたら?頑張ってるのは分かるけど、あんた最近近詰めすぎなんじゃない?”

“うん・・・”

“じゃあね、また明日の課外でね!”

そう、由貴の言う通り、最近ろくに睡眠もとっていなくて、すごくイライラしたりする。

こんなんじゃいけないと思いつつ、勉強に追われ、息抜きなんて考えたことも無かった。