“だって、‘桜木詩音’は、‘人形姫’でしょ? そしたら、意地でも無表情で接しなきゃいけないじゃない。 王子様に” 言いながら、思わず泣きそうになる。 “ねぇ、人魚姫” 気がついたら直の腕の中にいた。 “俺、中学の頃からずっと好きなんだけど” その言葉が嬉しくって、だけど、信じ難くて。 “ありがとう、王子様” そうとだけ言う。