私は自分の時と同様に人差指を突き立てる。

“No1”


そう唇を動かせば、彼もにこりと笑ってくれた。

そして、由貴の所へ戻る途中、記者に囲まれた。


自分でもホント運がないと思う・・・。


“桜木さん、今回の大会の結果については?”

“周りの仲間の支えがあってこその今ですね。最後まで走りきれて良かったです”

“桜女と言うと、なかなかの進学校ですが、これからはどうするんですか?”

“そこ聞いちゃいますか?もちろん受験ですよ。グランドは変わりますが、精一杯頑張るつもりです”

“試合前に、No1宣言をしていましたが、相手は誰なんですか?”

“It's seacret, but he has been my prince in my heart”


すぐ近くでインタビューされている彼が、同じような質問をされて、同じような答えを返しているなんて露知らず、そう答えた。

“それでは最後に一言”

“応援して下さった、皆様、今まで支えて下さった仲間、そして、競技を今まで一緒に闘ってきたライバルの皆、本当にありがとうございました”


こうして、記者たちは去っていった。

きっと、由貴たちも囲まれてるんだろうな。