キキッ


純の前に、黒い高級車が止まりました。

左ハンドルで、外国製のようです。

助手席の窓が開いて、チョビ髭にロン毛の男が顔を出しました。

「お嬢さん、こんなご時世にヒッチハイクたぁ粋だねェ。気に入ったよ、乗りな」

純は思わず飛び上がります。

「おっしゃ!!なんや、優しい奴もおるやんけ!!!」


純は後部座席に乗り込むと、行き先を伝えました。



助手席の男が、口角を上げてニヤリと笑った事に、純が気付くことはありませんでした。