こんな日に限って、純の父親はパチンコ、母親はヨガ教室に行っていて居ません。

「オトンはどうせ電話を掛けても周りの音で聞こえないだろうから……」

純は母親の携帯に電話を掛けます。


「きっと来る――、きっと来る――」


純の背後で着信音が鳴りました。

母の着うたは、あの某有名ホラー映画の音楽です。

純がリビングのソファのクッションを退けると、そこには母の携帯がありました。

「チッ」

純は、母親に兄の忘れ物を届けさせ、自分は何もせずチーズケーキを食べようと思っていたようですが……


世の中、そう甘くは無いようですね。


純は渋々兄の忘れ物を持つと財布を握り、Tシャツにプージャ、健康サンダルという超ラフな格好で出かけました。