「あっ、純?俺だよ、俺!!」

「何ですか?オレオレ詐欺さん。振込みませんよ?」

兄はかなり急いでいるようで、純のわざととしか思えないボケを無視して続けます。

「お願いします、手帳忘れたから届けてくれ!!ホラ、俺、まだまだ新人だろ?それにこの間も忘れたばっかなんだっ!!!今忘れたらヤバいんだよッ!!!」

「ウチに関係あらへんやん」

本日2度目のブッた斬りサービス。

お兄ちゃんはどうやら職場を離れて電話しているようで、車の走る音が聞こえます。

「頼むよッ!!モ●ゾフのチーズケーキ、1ホール奢るから!!!」

「OK」

限り無く物欲主義者の純。

兄は人知れず電話の向こうで溜め息をつきました。


「じゃあ、出来るだけ早く××会社の近くの駐車場に来てくれ」

「は?直接職場に行かんくてええの?」

「直接来られたら、俺が忘れ物したのがバレるだろ!!
いいか?とにかく急いで来てくれ!!」


そこで電話は切られます。


「面倒くせぇな」


と、純は呟きました。