今日は日曜。

国民の大半は、家でのんびりぐでぐでLIFEをenjoyしていることでしょう。

散らかった和室で、10時を回っても寝ているこの女子中学生――橘 純(タチバナ ジュン)もその1人でした。

ある一本の電話がかかってくるまでは。


ジャ、ジャ、ジャ、ジャーン

ベートーヴェンの「運命」が流れます。

どうやら純の携帯の着信音のようです。


ディスプレイには「兄貴」と映っていました。


純の深い眠りも流石にベートーヴェンさんには勝てなかったようで、純は目を擦りながら携帯を手に取り、通話ボタンを押します。


「も――しも――し、何か用ぉ?」


欠伸混じりでいかにも眠そうですね。