人魚姫

「そういやさ、司と別れたんだって? 何で」
「だって、司のヤツ浮気してたから」
「ひでぇヤツだな、全く」
「もともと嫌いじゃない程度だったし。それに、私もこうしてアンタとシてたんだから同罪じゃない?」
「そーかもだけどさぁ…」

話しながら、元彼を思い出す。
准の友達で、その流れで親しくなった。
何回か遊んで、そしたら告白されて。
一度は「好きな人がいるから」って断ったけど、「それでもいい」って言うもんだから。
まぁいっかなぁって付き合うことにした。
顔はそこそこ。性格もまぁまぁ。
相性も悪くない。
だから司は嫌いじゃなかった。
でもまぁそんな適当な気持ちで付き合ってたものだから、当然長続きはしない。
司の浮気を随分前から知っていたのに、私は問い詰めたりしなかった。
だって本当にどうでもよかったから。
でも、最近になって浮気相手の1個下の女の子から無言電話が日に何十回もかかってきて。
根も葉もない悪口を言いふらされたりするもんだから、バイバイ。
それが2週間前のこと。
「いーの、好きじゃなかったんだから。つーか、司も彼女いんのに私とこんなことシてる准だけには言われたくないんじゃん?」