『前原さん、スッゴク地味だよね。』
『マズあのおさげに、めがねって言うのがね?』
『ちょっとヒク・・・』
『前髪パッツンとか!!』
『マジありえねぇー・・・』
クスクス・・・
聞き飽きた台詞に聞き飽きた笑い声。
田舎の中でも本当に田舎のところから、東京の都会へ、引越してきた。
そう、ココの高校は、全寮生校。
スポーツでも、頭のよさでも有名で、誰もが行きたがる高校。
田舎暮らしの私は、田舎者では珍しく、勉強ばかりして全然外で遊んだこともないようなヤツ。
見た目も見た目で、そのまんま。
みんなが勝手に見た目で、「委員長」ってきめ、今では委員長という名の雑用係だ。
ここがこんな学校だなんてがっかり。
普通ならココでやめたいとこだけど、そうもいかないんだよね。
それはそれは、恋・・・って、ヤツですか?
キャーーーー!!!
女子の高い声にバッと顔を向ける。
来た。
彼は茶髪の短髪に、ピアスだらけのチャラチャラした男子。
名前は陸上 日向。
顔はすっごくイケメンで、まつげ長い。
スポーツ万能、頭もカナリよく、毎回学年1位。
家柄は外国にも知れ渡る超一流のスポーツ会社の社長の息子。そして三男。
こういう風に、何でも自由なのは長男じゃないから、跡継ぎの心配もないからだ。
そう、こんな完璧のヤツが、同じ世界の人物かって、疑うよ。
普通お坊ちゃまっていったら、俺様でわがままってイメージだけど、コイツは違うんだ。
ダカラ、好きなんだ・・・・・・
「?ゲッ!!前原!!女子がんな重てーものもつんじゃねーよ!貸せ!!」
そういって、今日の授業に使う参考書を、私の手から取り上げるように持つ。
「か、勘違いすんなよ!コレはただ!!お、俺様がいいヤツだからであってだな!俺のためで、お前のためじゃないんだからな!!!」
そういう君。
誰にでも、関係なしに、優しいンだな・・・コレが・・・
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