真面目なあたしは悪MANに恋をする

「ま…茉莉は?」

「怪我してねえよ。俺と加藤だけだ」

「そう…なんだ」

茉莉は無事だったんだ

良かった

片岡君が電話して言ってくれたおかげだね

寺島君が憎しみのある目で、あたしを見るとどんと肩を強く突き飛ばした

な、なんで?

あたしは地面に尻もちをつく

「嘘をつくのもいい加減しろよ」

寺島君が大きな声で、怒鳴る

あたしは肩をびくっとさせると、身を縮めた

どうして怒ってるの? 意味がわからないよ

「あんた、赤の族長の女なんだろ?」

「は? ちがっ…」

「違くないだろっ」

寺島君がじりじりとあたしに近づいてくる

尻もちをついたまま、あたしは両手を地面につけて後ろに下がる

怖い…怖いよっ

何で? なんであたしが族長の女なわけ?

「寺島君、言っている意味が……」

「車を蹴ったとき、族長が怒ってただろ。それに加藤が車を出るとき、一緒に逃げようって手を出したのに、断ったんだってな。んで、逃げる俺らを見て、笑ったって言ってたぞ」

はあ? 何それ…加藤さんのデタラメなんだけど