真面目なあたしは悪MANに恋をする

「はい、今日は12時からラストまでなんで」

「今日も長いんだね。大丈夫? 疲れない?」

「あ、平気ですよ。今日はしっかり寝てるんで。家に居ても暇ですからね。もう一杯、もらってもいいですか? 次は、アイスティーを…」

片岡君の手が伸びて、アイスティーを持っていく

きょろきょろと周りを見てから、席を立った

「ガムシロ、持ってきますね」

片岡君はドリンクバーのほうへと歩いていく

やっぱり、甘党なんだ

大きな手の平の中に、ガムシロップを一つ入れるとテーブルに戻ってきた

「寺島君、今日は来るのかな?」

「来ると思いますよ。彼は僕が赤族だって知らないですから」

「え?」

「昨日はあのまま僕は、カラオケに行きましたから。寺島君には会ってません」

「そうなんだ」

あたしは軽く頷くと、ウーロン茶にストローを差し込んだ

「まだ寺島君が好きですか?」

「全然」

あたしは首を横に振ると、ウーロン茶を飲んだ

ごくごくと飲みこむ音が聞こえる

もしかしてこの音、片岡君にも聞かれているのだろうか?

そう考えると、ちょっと恥ずかしい

恥ずかしいけど、飲み込む音を小さくしようとしても、意識して喉を動かしているせいか、さっきよりも大きな音で『ごくり』と鳴った気がした