真面目なあたしは悪MANに恋をする

店内に入ってきたのは、片岡君一人だけだった

テーブルの前で足を止めた片岡君は、深く頭をさげると向い側のソファに座った

「あ…えっと、透理さんたちは?」

「駐輪場にいますよ。あとで三人には謝らせますから。まずは俺が謝ります。すみませんでした。休みの日に、わざわざあいつらの戯言に付き合ってもらって…」

「あのぉ…これ、どれか飲まない?」

「は?」

片岡君が頭をあげると、きょとんとした目で三つ横に並んでいる飲み物を見つめた

「三つはちょっと……透理さんが用意してくれたんだけど、こんなに沢山は飲めないから」

片岡君がふっと笑みを見せた

安心したように、静かに口から息を吐き出すと、片岡君はカルピスに手を伸ばした

「じゃあ、僕はこれをいただきます」

コップを口につけると、ごくごくと音を立てて一気に飲み干した

「実は喉、渇いてたんですよね。朝起きて、メールの送信欄を見て、そのままバイクに乗って飛ばしてきたから」

片岡君が恥ずかしそうに口を開いた

喉、渇いてるならウーロン茶のほうが良くない?

もしかして片岡君って甘党だったりするのかな?

「バイト…大丈夫?」

あたしの質問に片岡君は、ポケットに入っている携帯で時間を確認した