真面目なあたしは悪MANに恋をする

「林の中が、急に…ひ…光ったのぉ…ピカって。そしたら、バイクがぶわって出てきて…お、追いかけて、ドアをどんって蹴ってきて、怖かったよぉ…殺されるかと思ったぁ。死にたくないよぉ」

泣きながら、思ったことをぽんぽんとあたしは言葉にしていった

「す…すみませんっ」

片岡君の隣にいた若者が、大きな声で謝ると腰を折って頭を深く下げた

「へっ?」

あたしは涙と鼻水を垂れ流したまま、謝ってきた人の顔を見た

「族長の大切な女性だとは知らずに…ご無礼をっ」

「はっ?」

あたしは首を傾げた

『大切な女性』って?

「おいっ!」

片岡君の低い声が、上から聞こえてくる

「あ…いや、ご友人だとは知らず…申し訳ありませんでしたっ」

また腰から頭をさげると、彼は謝った

あたしの視線はゆっくりと片岡君に向いた

片岡君の顔が真っ赤になっている

まるで着ているツナギの延長線なのでは? と思ってしまうほど、片岡君の顔も首も耳も真っ赤になっていた