真面目なあたしは悪MANに恋をする

あたしは全身の筋肉を緊張させる…が、すっとバイクが離れていく

あれ? そっと目を開けると、窓の外を眺めた

真横にぴったりとついてるバイクの荷台に座っている男が、さらに向こう側にいるバイクドライバーにぺこぺこと頭を下げていた

向こう側にいるバイクは一人乗りで、お尻に赤い旗がついていて、ぱたぱたと激しく揺れていた

「やべえよ…マジ、やばっ! 今日は、族長がいんじゃん」

寺島君が、叫んだ

ええ? 族長がいるとやばいの?

「族長って何? 茉莉ぃ、怖いよぉ…帰りたいよぉ」

茉莉が声を震わせながら、悲鳴に近い声で言葉にした

「バイクのケツに、旗がくっついてるだろ! あれが族長のバイクだよっ。滅多に、走らねえんだよ…赤の族長は!」

寺島君が大きな声で説明をする

寺島君の恐怖で、声が震えていた

「これで、彼らが本気だってわかってわけだ」

加藤さんが、アクセルを緩めた

前を走るバイクの速度が落ちたから、加藤さんの速度を落とさないと事故ってしまう